水墨画教室実施のご報告

6月11日(火)に、大使館多目的ホールをお借りし水墨画教室を開催いたしました。
講師は日本人会員で書道家・水墨画家の新井沙織さん。新井さんには餅つき大会で本年の干支である亥(いのしし)の絵も舞台で描いていただきました。
まずは新井さんから水墨画の歴史とその道具の説明を頂き、続いて水墨画の命である墨を硯で静かに磨っていきます。 水墨画の微妙な濃淡は既成の墨汁液では得られないため、こうして固形の墨を硯で磨るわけです。 硯によっても墨の粒子が変わり、濃淡に微妙な差がでてくるとも教わりました。墨のよい香り、墨と水の交わりに癒やされての集中と静謐さの一時。私たちも子供の頃に習字の授業で墨は磨りましたが、墨を磨るのは結構大変なこともあっていつの間にか既成の液体墨に切り替えた記憶が。でもこの日は新井さんに適切な水の量を教えて頂き、短い時間でちょうど良い濃さの墨を得ることができました。流石はプロの指導です。
そして、墨液を筆に取ります。濃淡をつけるための水の含ませ方・除き方を教えて頂き、和紙に直線を書いて各自、それぞれに濃淡のコツをつかんでいきます。この日の水墨画の題材は6月らしく、あじさいの花。新井さんの見本を参考にしながら、花びらや葉、葉脈、枝の書き方を教えていただき、各自練習を重ね、いよいよ本番、あじさいの花にとりかかります。新井さんのように流麗にできない、と言いながらもそれぞれ試行錯誤を重ね、真剣勝負・精神集中。なかなかどうして皆さんお上手。新井さんも参加者の皆さん一人一人をケアして廻りながらアドバイスをくださいます。
最後は顔彩を使って、カラーのあじさいの水墨画にも挑戦。群青、赤、白、墨、水の織りなすグラデーションで皆さん思い思いに花を描いていかれます。
90分の後、皆さんそれぞれに素晴らしいあじさいの水墨画が生まれました。研鑽を詰めば、将来は水墨画家としてデビューも夢ではない?
作業中は墨と筆、和紙になぜか心が落ち着きました。また、自然の構成物 ー今回はあじさいー を描くことで、私たち自身の心の中もなぜか見つめ直せたような気がし、画を完成させた後は達成感もあるのでしょう、日常の雑事を離れた何か新しい、清々しいものにたどり着けたような気がしました。お世話になった一つ一つの用具にお礼をこめて片付けも綺麗に自然にできたのも、墨と筆と和紙という日本文化のルーツと清々しさが私たちに教えてくれた、生きることに対する感謝の思いからだったのかもしれません。
この場をお借りして、参加いただきました皆さま、講師の新井沙織さん、会場をお貸しくださった日本大使館の皆さんに感謝を申し上げます
マドリード日本人会 文化部長 石丸佳代子